第4回 +αカフェ「福祉で地域貢献」
2009年 10月 05日
ゲストはNPO法人「あゆみ福祉会」代表の新井明彦さんです。
事業を開始したのは平成13年とのことですが、現在は市内2ヶ所、坂戸市1ヶ所の合計3ヶ所にホームを開設しています。職員数は、3ヶ所で9名で、新井さんの他、30代男性1名、50~60代の女性7名(介護士は半数程度)なのだそうです。
ホームは、アパート1棟を借上げているのですが、1棟丸ごと借上げること、空き部屋分も家賃を支払うこと、市内を見ても満室のアパートが少ないことから、不動産屋との交渉により、相場より安く借りているそうです。アパートの各部屋に相互通話ができる内線を完備しているほか、300㎡を超える第二つつじホームには、火災報知器を設置、費用はすべて法人持ちで総額100万円超掛かっているため、アパートの賃貸契約も15年など長期でお願いしているそうです。
入居者からの家賃収入は月額52,000円(障害年金は65,000円)ですが、この他に介護報酬が入ってくることで経営が成り立っているとのこと、基本的には、いつまでも入居可能ですが、2名の方がこのホームから自立したそうです。自立する場合は生活が出来るように、就職先の月給も10万円以上のところを確保するなど、配慮しているとのことでした。
事業を始めて8年となり、専門的なことは外部に委託するということが多くなっています。すべてを抱え込むのではなく、外部に応援を求めたことが良かったと、新井さんは振り返っていました。
経営的にも初年度は大変だったそうですが、コミュニティビジネスの観点からすれば、十分採算の採れる事業だそうです。
質疑応答も活発でした。いくつか紹介すると・・・
★入居者の食事は?
当初は法人で賄っていたが、現在は市内の総菜屋に、3~4品のおかずを作ってもらい、3ヶ所への配達までお願いしている。ご飯、味噌汁、サラダ程度は、法人で用意する。
日曜日は食事は無い日とし、各自好きなものを食べている(一時帰宅する者もあり)。
★入居者の日中は?
原則、何事も自力で行うことになっている。日中は作業所等へ出掛けるが、9割は自力で現場へ向かう。
★入居者の保護者は?
入居者の家族形態は様々。入居者である子供の自立志向が強い場合、親子関係が不仲である場合、いずれ先立つ親が若いうちから子供に自立を促す場合など。
★入居状況は?
現在、満室であり、問合せがあっても断っている。
★ホームの増設は計画しているか?
ホーム増設の計画はあるが、人材の育成・確保が急務である。10年先を見越した中期計画では、老人向けのホームを計画しており、その意味でも人材が欲しい。
★休暇は取れているか?
取れている。ただし、週に3日は宿直している。週1日では、ホームの雰囲気がわからないため。
★リーダーが倒れたら(事業の継続性)?
事業の継続性を考えると、引き継ぎの必要性も感じているが、もう10年ぐらいしたら考えたいと思っている。
この仕事を始める前は、19年間作業所の指導員等をしながら福祉の現場で働いたという新井さん。
初めの15年間は現場で、残りの4年間は事務や総務を経験し、独立したそうです。
20代の頃から独立志向が強かった新井さんですが、最初は一軒家を借りて、そこに新井夫婦と障害者5名で共同生活を送ることから始めたとのこと、その1年間は風呂の順番からプライバシーの確保までトラブルの連続だったそうです。
そこで自身の貯蓄と身内の援助を充ててアパートを借りることにしたわけですが、、当時は国県からの補助金もあったとのことでした。
今回は、「年金+少しのおこずかい」からは程遠い、コミュニティビジネスとして成功しているゲストをお迎えしました。
これからはますます需要がありそうなグループホームです。福祉以外にも、いろいろな形が考えられそうですね。
by sikatu5600 | 2009-10-05 12:17